Last Updated: 2005/3/13

Diary
日々の日記。暇な時に書きます。
 Friday, 17 September,2004   出発日
寮に戻ってくると、誰も部屋にいない。テーブルに目をやると1枚の置手紙があった。
 
”何があったんだ?研究室とかも探したんだぞ。でも見つからなかったから出発するよ。この番号に連絡してくれ#45******
#          リカルド
 
 
!!!
 
しまった!!
 
 
実は週末にリカルド達と山へ行く約束をしていたのだが、今日は金曜日だった。出発日じゃん。何をぼけていたんだろう。何やってんだ、俺。俺だけ問題なら良いが、周りの皆に迷惑をかけてしまった。これはまずい。とにかくリカルドに電話してみる。
 
「もしもし?」
 
「今、どこにいるんだ?しょうがないから出発したけど、もうすぐで目的地に着くよ」
 
「すまん、すまん、まじですまん。」
 
 
とにかく、もう既に暗くなりつつあるので、俺は明日合流する事にした。彼らは車で行っているので、明日は一人バスで向かわなければならない。
 
 
リカルド達は俺の建物を知っているが、正確な俺の居場所は知らない。後で知ったことだが、リカルド達は構造学科の建物に車で駆けつけて、実験室などに入って俺の名前を呼び続けたらしい。
 
 
 
 
口が裂けても、その時研究室で椅子三つ並べて寝ていたなんて言えません。
 
その時かなり疲れていまして・・・
 
 
 
 Saturday, 18 September,2004   Cabin Trip
幸いにも昨日地図とコンパスを買っておいたので、現地に辿り着けるとは思う。今回行く山小屋はノルウェー工科自然科学大学の持ち物でウェブサイトにその行き方が文字で書いてある。地図は自分で買って調べろという事だろう。結局大学の生協で一番詳細な地図を買ったのだが、いたって不親切である。目的地の近くまで道が書いてあるんだが、最後の2キロくらいは道が書かれていない。でも何とかなるだろう。
 
 
14時頃寮を出発する。リュックには防寒具などの他に非常食としてのベークドポテトが5つと水1.2リットルが入っている。一応、バス停からは徒歩2時間くらいかかると思われるので非常食も大事である。バスは15時8分にトロンハイムを出発するのだが、俺はシュラフを持っていないので、それを買うために早めに出る。
 
ダウンタウンのスポーツショップに着いてたくさん陳列されたシュラフ見てみるが、よくわからない。結局店員と相談した結果、有名な会社の作っている700クローネ(\12250)の物を買った。新品のシュラフを片手にバスへ乗車する。バスは日本で言う大型観光バスタイプだが、それに見合わず乗客はいたって少ない。見渡す限り10人くらいしか乗っていないようだ。
 
わずかな乗客を乗せてバスは出発した。市内で少しずつ乗客を拾いながら郊外へ出る。一歩市街地を抜け出すとそこは一面黄金色に染まった畑が広がり、うねりのある大地がその畑に様々な表情を持たせている。最前席に陣取っている俺の耳に音楽が聞こえてた。よくよく見てみると運転席の脇に小さなスピーカーがあって、運転手の兄ちゃんは小さく音楽をかけながら運転している。どうも聞き覚えのある曲だと思ったら、曲はT.Rexの"Get It On"であった。俺の好きな曲だ。
 
"Get it on, bang a gong, get it on..."
 
そのテンポにあわせるかのように、ガラガラのバスは急がずに歩を進める。久々に天気も素晴らしい。この時期トロンハイムは常に天気がぐずついでおり、好天に恵まれる事は幸運な事だ。この天気を噛み締めて楽しまなければいけない。
 
1時間ほど走りバスはルンダモという集落に入った。バスは車内放送がないので、バス停が近づいたら自分で判断し、ブザーを押して降りなければならない。俺はルンダモのバス停がどういう所かわからなかったが、親切に運転手の兄ちゃんが降りるべき所で止めてくれた。
 
それにしても小さな集落だ。両側を山に囲まれ、中央の川に沿うようにして集落が広がっている。かろうじてガソリンスタンドとスーパーがあった。このスーパーで腹ごしらえのピザを買う。ついでに店員のおばちゃんに山小屋への道を聞いたのだが、おばちゃんもよくわからず、地図を広げて他の店員と話し合うことになった。結局近くの交差点を曲がればいいだろうという結論に落ち着いたが、地元の人でさえ首をかしげる地図にいささか不安を覚える。
 
バス通りを右に折れて川沿いの道を歩いていく。しばらく歩くと後ろから学校帰りの6,7歳かと思われる小学生が自転車で追いついてきた。確かにこの山里では自転車でもない限り小学校に通うのはつらいだろう。俺の脇を通り過ぎるのかと思いきや、
 
「○※жЮ▼」
 
ノルウェー語で何か話しかけてきた。それもそうだよな。東洋人というだけで珍しいのに、リュックも山用でないし、恰好もトレーナーにチノパン。だから地元の人間でなければ、夕方にスーパーの袋を提げながらこのあたりをうろついているのは奇妙な事なのかもしれない。(スーパーの袋には先ほど買ったシュラフが入っている。)残念ながら少年には英語が全く通じないのでノルウェー語で話さざるを得ないのだが、俺はノルウェー語を話す事はほとんどできない。だから全く会話にならない。でも最後に
 
「Ha det bra!」(good bye)
 
と言うと、これだけは通じたらしく少年はニコっとして行ってしまった。やっぱり挨拶は大事だな。しかし、この少年しばらく行くと自転車を止めて俺が来るのを待っている。俺が追いつくとまた自転車で行ってしまう。イタチごっこを数回繰り返すと少年は小さな集落のほうへ曲がって行った。
 
地図を頼りに2つ目の橋を目指す。ここで橋を渡って道を変えねばならないからだ。知らない道を歩くとちょっとした距離でも非常に遠く感じたり、長く歩いているような錯覚にとらわれる。だから何度も地図を広げてしまう。自分が進みすぎていないとわかっていても不安になるのだ。鮭の孵化場と思われる施設を過ぎるとポイントとなる2つめの橋に到着した。待ち望んでいたその橋を見て胸を撫で下ろす。
 
橋を渡ると急な坂が現れる。自動車で登れる坂だが、かなり険しい。時折道から見える氷河地形を眺めて休み休み登る事1時間、送電線が道をクロスした。確か山小屋を紹介するサイトに「送電線がクロスした所で左に曲がれ」と書いてあったが曲がるような道はない。曲がるべき道がない以上進まざるを得ない。不安に思いながらも歩を進めると、前からクラクションを鳴らしまくる車が前方から来た。マルコスだ。丁度帰る所だろう。彼は日曜日にやる事があるので今日中に帰らなければならない。
 
「ここから数百メートル行った所に小さなたて看板があるから、そこで曲がってまっすぐ行けば大丈夫。曲がって道なりにいけば、トーマスの車が見える。歩いたら1時間くらいかな。」
 
誰ともすれ違わない道を歩いてきた俺にとって、知り合いと会えた事は大きな安堵感をもたらした。言われた通りにしばらく歩くと小さなたて看板がある。曲がるべき所だろう。地形を見れば送電線以外は地図と一致するし、念のためコンパスで目的地の方角をチェックしてみるがこれもあっている。確信を持って進路を左にとった。
 
ここから先の道は地図に書かれていない道である。とはいっても車がギリギリ通過できるくらいの広さはあるので道を見失う心配はなさそうだ。周囲には動物が多いようで鹿のフンがしょっちゅう転がっている。道の両脇には野生ラズベリーがたくさん生っているのでそれを食べにくるのであろう。その鹿のフンとは明らかに違う巨大なフンを発見した。馬のものでもない。どうやら森のくまさん登場ってやつですね。しかもかなり新鮮なものだ。出会ってしまったらどうしよう。
 
1、たたかう#×
短い脚にタックル→肩脱臼→動けなくなる→やられる
 
2、じゅもん#×
たぶん効かない→やられる
 
3、にげる#×
しかしまわりこまれた→つうこんのいちげき→やられる
 
4、どうぐ#×
ベークドポテトを投げつける→ポテトに気をとられる→にげる→おいつかれる→やられる
 
 
いろいろ考えたが、良い案は浮かばない。熊に出会った時の対処#はいろいろ聞くが結局何が一番良いのかはっきりした答えを聞いた事がない。
 
 
運が良かったのか悪かったのかわからないが、熊と出会えないままトーマスの車を発見し、目的地近くの駐車場に着いた。湖沿いにぬかるんだ道をさらに15分ほど歩くと目指す山小屋に到着した。さすがに出発日で迷惑をかけたので怒っているのかと思っていたが、大歓迎をしてくれた。優しい友人達だ。
 
長かった。歩くこと2時間半。一人で歩いて来た人間にとって3時間にも4時間にも感じられる道のりであった。「迷う事はなかったか?」と聞かれて、「大丈夫、余裕だった」
と強がりを言ったが、正直不安な2時間半であった。

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