アントニオの友達であるシルビアとジャンニが来ている。今日は彼らの滞在する最終日で最後の思い出に雪だるまを作る事になった。ひと時小康状態を保った雪も今日になってまた大量に降ったので、最適な条件が揃っている。
アントニオとジャンニは雪像を作り始めたが、俺は日本式雪だるまを作り始めた。
スノーマンってのは2頭身の丸っこいでっかいものなんだぜ、アントニオ、ジャンニ。
俺も作る以上は大きいものを作りたい。25歳になって雪だるまを作る以上はそれに見合う大きさでなければいけない。
えっちらおっちら作っていると大体俺の胸くらいの高さになった。失敗した事に緩い下り斜面で作っていたため、元の位置に戻そうにも俺の力では動かなくなってしまった。無理に動かそうとすると逆に押そうとしている俺の方に転がってきそうになる。かなりの重さなので自分の方へ来ると少々怖い。
「熊と闘って死んだ」というならまだ恰好がつくが、「雪だるまにつぶされて死んだ」となったら死んでも死に切れない。そこでジャンニに助けを求めることにした。
ジャンニが来て、ワン、ツー、スリーで息を合わせて押した瞬間、
ボッコ!!!
見事、3つに割れてくれた。運びやすいようにと雪だるまさんの愛情ですか?
そんな気の利く雪だるまさんが俺は大好き(泣)
結局割れた破片はアントニオの作る雪像の一部となっていった。ともあれ、ジャンニとアントニオと朝3時半までかかって雪像を完成させた。名前はジャンニからとってジョンニ。
片手にビールを持ったジョンニが冬の間ずっと寮の前に居座り続けるだろう。
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