Wander in Europe

 5   1分の差 1/3(Mon)#Bergamo
 
ミラノに到着したのは不運な事に月曜日であった。ミラノの美術館、城はほとんどが月曜日休館で入れない。残念ながら、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を有するサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会もこの例外ではなく、今日は見る事ができない。
 
フラットメイト(ルームメイト)のリカルドが以前、
「ミラノはあまり見る所がない」
 
と言っていたのもあり、どうも俺としては惹かれない。そんなわけで俺はミラノから列車で1時間の城塞都市ベルガモへ行くことにした。相棒の和也はミラノの街が見てみたいという事なので、19時にミラノ中央駅で待ち合わせる事にし、別行動を取る事にした。
 
 
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ベルガモを急いで観光して、ケーブルカーの駅に着いた時、時計は17時37分を指していた。俺の乗るミラノ行きはベルガモ駅を17時44分に出発する。ケーブルカーの駅からベルガモ駅までは距離1.4キロ。ここをバスがつないでいるが、俺がケーブルカーを降りた時はバスの姿が見えなかった。バスを待つくらいなら走った方が確実であると思い、即座に駅へ向かい走り出した。
 
情けない事だが、しばらく運動をしていないせいか、すぐに息が上がり始めた。弱音を吐いてはいられない。何としてでも17時44分発の列車に乗らねばならない。何故ならミラノで再会する時間は俺が指定したからだ。
 
俺なら間に合う
 
この安直の考えは単なる距離の計算からであった。体育で言えば、1.4キロを7分で走る事はそう難しい事ではない。しかし実際走ってみると大きな交差点や、通りの人ごみで思うようには走れない。
 
駅までは4つの交差点を通過する。最初の2つは運よく信号が青であったのだが、3つ目でとうとう捕まってしまった。交通量が多く、渡るに渡れない信号は俺を焦らせた。時計を見れば残り3分。
 
キビしい時間だ
 
信号が変わる前に見切り発車で、再び走りだした。駅に近づくにつれて通りの人は増えていくが、それを掻き分けよけていく。ダッシュ&ジョグのような走りをしつつ最後の交差点へ到達した。こんな時に限ってここも赤で渡れない。もう駅前のロータリーが視野に入っているのが実に歯痒い。
 
モウダメカモ
 
信号が青になり走り出そうとする時、残り1分。間に合う確信はないが、駅までの200メートルを無心で駆けた。
 
"イタリア国鉄はしばしば遅れる"
 
今となってはこの事実だけが俺を支えている。
 
駅舎へ飛び込んだ。目に入った現在時刻は17時44分。
 
万事休すか
 
 
 
 
駅の階段を駆け下りて、各ホームへ上がる階段毎の列車案内を見回す。
 
"2#Milano 17:45"
 
間に合ったぜい
 
熱い事実に気付いた。実は俺の時刻表が1分間違っていたらしい。階段の上に止まっているミラノ行き列車が見えた時、俺は大きな安堵感に包まれ、よく頑張ってくれた俺の心肺#能を労わるように走る速度を緩めた。
 
その時
 
プシュ〜
 
突然、ベルもなく列車のドアが閉まり始めた。大慌てで階段を登り、半分閉まりかけたドアへ飛び込んだ。
 
間に合った
 
 
 
 
メロスはセリヌンティウスへ言う。
 
「私を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ。私は、途中で一度、悪い夢を見た。」
 
俺は和也へ言う。
 
「和也、ヘタレな先輩を持ってしまったお前は不運だな。俺は途中で十度以上、止まろうかと思った。+公衆電話が目に入る度に遅れる電話をしようと思った。」
 
 


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